生活習慣病

スポーツ障害


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 野球による投球障害(肘、肩)、テニスによるテニス肘(外側上顆炎)、ゴルフによるゴルフ肘(内側上顆炎)、ランニングによる腸脛靭帯炎、アキレス腱炎、反復する足関節捻挫など、様々なスポーツ障害があります。多くの場合は慢性的なストレスがかかり続けることで生じており、再発予防やスポーツパフォーマンス改善のためにアスレチックリハビリ、適切なトレーニングが必要となります。また、成長期のスポーツ活動により負荷がかかり続けることにより、脛骨や踵骨に骨端症が生じることもあります。その場合も症状改善のために適切な治療、リハビリ、運動療法などが必要となります。

 一般的な運動療法としては、慢性的なストレスが生じている部位に対してのストレッチ、トレーニングなどがあります。

1. 投球障害肩

投球動作を繰り返すことにより肩関節内部で腱板関節面と後上方関節唇の衝突が生じ、腱板断裂や関節唇損傷を起こします。症状としては投球動作時の肩関節痛が主です。治療としてはまずはノースロー (投げることの制限)から始まり、疼痛が軽減していることを確認して、徐々にスローイング (投球やキャッチボール)を再開していきます。その際に、受傷前と同様の投球動作を繰り返すと再発の恐れがあるため、肩関節のみでなく下肢から体幹にかけて全身をスムーズに用いることができるような投球動作の練習を行っていきます。

投球障害肩に対してのストレッチ

投球障害肩に対してのストレッチ

2. 腸脛靭帯炎

ランナーの方に多いスポーツ障害です。O脚の姿勢や発育期における腸脛靭帯の緊張などにより生じることが多いです。ランニングにおける膝の屈伸で、同靭帯が大腿骨外側上顆と摩擦を起こして炎症が生じ、膝外側の痛みが生じます。動作の反復で生じるスポーツ障害であり、リハビリでは姿勢の改善や足関節〜股関節にかけてのトレーニングを行うことで膝外側への負担軽減を図ります。

腸脛靭帯炎に対してのストレッチ

腸脛靭帯炎に対してのストレッチ

3. アキレス腱炎

長距離のランニング、ダッシュ、ジャンプなどによりアキレス腱にくり返しのストレスが生じることで生じるオーバーユース (使いすぎ)のスポーツ障害です。運動始めや運動後にアキレス腱や付着部に痛みを生じます。痛みが強い場合はインソールなどでアキレス腱への負担を軽減させ、その後にアキレス腱〜下腿三頭筋の柔軟性向上を図ることで再発予防に努めます。ランニング動作が未熟な場合にもこのような症状は生じるため、必要に応じてランニング動作の確認を行い、症状改善に努めます。

3. アキレス腱炎に対してのストレッチ
アキレス腱炎に対してのストレッチ

アキレス腱炎に対してのストレッチ

4. 足関節捻挫

外力による過度の足関節運動の強制により生じる靭帯、関節包、皮下組織の損傷を捻挫と呼びます。スポーツによる損傷が多く、受傷後に適切な治療が行えなかった場合や、先天的に関節弛緩性の高い方などは反復して受傷することがあります。足関節周囲には感覚受容器 (足首の状態を感知する組織)が多く、リハビリでは足関節周囲のトレーニングと感覚の再教育などを行うことで再発予防に努めます。

足関節捻挫予防のトレーニング (腓骨筋)

足関節捻挫予防のトレーニング (腓骨筋)

5.オスグッド・シュラッター病 (脛骨骨端症)

12〜13歳前後の男子に生じやすく、クラブ活動をしている人に多いスポーツ障害です。

太もも前面の大腿四頭筋の過度の収縮を繰り返すことで、膝蓋腱の脛骨付着部が刺激を受けて発症します。その結果として、脛骨結節 (すねの上の部分)に炎症を起こすことや、脛骨結節が剥がれることで痛みが生じます。ジャンプやダッシュ、ランニングなどで痛みが再現され、安静によって寛解することが多いです。

当院での治療としては、まずはサポーター使用による患部の保護と安静を行い、必要に応じて理学療法士によるストレッチ指導なども実施しています。不良な姿勢 (特に後ろに体重がかかった状態)からストレスがかかることも多いため、姿勢のチェックなどを行い、症状改善を図り再発予防に努めています。

大腿四頭筋 (特に大腿直筋)のストレッチ

大腿四頭筋 (特に大腿直筋)のストレッチ

6.シーバー病 (踵骨骨端症)

学童期に生じることが多い骨端症です。オスグッド・シュラッター病と似たような原因で生じ、ジャンプやランニングなどで骨端核への直接の圧迫力とアキレス腱や足底腱膜の張力が加わることで骨端部に循環障害を起こします。その結果、踵骨 (かかとの骨)の骨端核が壊死を起こすことや、骨軟骨炎を発症することで痛みが出ます。

症状としては、踵(かかと)周囲の腫れや圧痛、歩行時、ジャンプやダッシュ、ランニングなどで痛みが出ることがあります。踵を上げて歩くことで症状が緩和することが多いです。

当院での治療としては、まずは足底版使用による患部の保護と安静を行い、必要に応じて理学療法士によるストレッチ指導なども実施しています。オスグッド・シュラッター病と同様に体重のかかる位置によっても加わるストレスが異なるため、個別に姿勢のチェックを行い、足首〜足趾の可動性や筋力を測定して症状改善を図っていきます。

下腿三頭筋、アキレス腱のストレッチ (2種類)
下腿三頭筋、アキレス腱のストレッチ (2種類)

下腿三頭筋、アキレス腱のストレッチ (2種類)

上記2つの成長障害は成長期に頻発するものであり、再発予防も含めた治療が必要となるため、当院では医師と理学療法士が共同して治療に取り組んでおります。